会議の案内に、進捗について、とある。集まってから何を話すかを考え、話し終えてから何を決めるべきだったかが分かる。
私は、アジェンダという名前を使えば会議が整うとは思わない。議題の一覧が立派でも、終わった時の姿が見えなければ、ただ話題を先に並べたというだけである。
議題名より先に、終わる時に決めたいことを書く
目的、決めたいこと、参加者に求める準備を先に整理し、それに必要な議題と時間を割り当てる。共有だけで済む情報と、相談・判断が必要な項目を区別する。
- 目的:なぜ今集まるか。
- 到達点:何を決めれば終われるか。
- 議題:到達点に必要な論点は何か。
- 準備:先に読む資料、持ってくる情報は何か。
- 進行:誰が説明し、誰が判断するか。
資料を説明することが目的になれば、説明し終えたところで会議は成功する。しかし、聞いた人間の次の仕事は決まっていない。部屋の予約だけは、予定通り消化できたことになる。
伊東勤は、1983年の巨人との日本シリーズ前のミーティングを覚えていた。私は黒板へ相手の先発投手を並べ、こちらの投手と照らし合わせた。勝つ試合だけで埋めず、負けてもよい試合も置き、最後はこちらが勝つという組み立てを見せたのである。
伊東が語るには、それを聞くうち、選手の側にも最後は勝つという気持ちが生まれたという。私は、議題を全員から一つずつ募って、その黒板を平等に埋めたのではない。会議を進める者が、どの負けまで自分の話に入れるかを決めていた。
30分会議のアジェンダ記入例
一つの判断に絞った会議なら、状況確認、選択肢の比較、決定、担当と期限の確認へ時間を分けられる。以下は編集側の架空例で、あらゆる会議を30分へ収める決まりではない。
目的:社内資料の確認工程を決める/到達点:試す手順と担当を合意/事前準備:現状の作業図とA・B二案を確認/判断者と関係担当者が参加。
| 時間 | 扱うこと |
|---|---|
| 0〜5分 | 目的、判断範囲、現状の問題を確認。 |
| 5〜13分 | A・B案の手間と懸念を比較。 |
| 13〜23分 | 疑問を確認し、試す案を決める。 |
| 23〜28分 | 担当、開始日、見直す条件を確認。 |
| 28〜30分 | 決定・未決定・次の連絡を復唱。 |
五分刻みの表を作ると、それだけで時間に強くなったように見える。ただ、決める人が不在なら、最後の五分でも決まらない。時間配分の問題と、誰が来るかの問題は別である。
黒板の想定を、結果がたまたま合った話としてだけ読む管理職もいるだろう。私は、それより前に指導者が何を見せたかを重く見る。若い進行役が私の話を予定表の枠へ押し戻そうとするなら、その枠を何のために作ったかから確かめたい。
事前共有では、資料と頼む準備をセットにする
日時、所要時間、場所または接続方法、目的、議題、資料、準備事項をまとめて共有する。長い添付を送るだけにせず、特に見てほしい箇所や判断点を添える。
案内例:「A・B案のどちらを一週間試すかを決めます。資料2ページの作業図を確認し、担当業務で困る点があれば当日ご共有ください」。これは架空の案内文で、職場の指定書式に合わせられる。
読んでおいて、と送った上司が、どの頁を何のために読むかを説明できない。そういう資料は、会議の外へ移された説明時間である。準備と呼べば、誰の時間も無料になるわけではない。
ただ、昔の指導を聞くための準備を、資料を三分で眺める程度にされては困る。私が何を判断してきたかを知るには、結論だけでは足りない。要点という名前で、教えた者まで省略する必要はない。
決まらない議題は、不足と次の担当を残す
時間内に決められなければ、何が不足しているか、誰がいつまでに確かめるか、次にどう判断するかを記録する。急いで同意扱いにせず、議事録には決定事項と未決事項を分ける。
記録例:「B案の権限設定が未確認のため保留。担当者が確認し、回答後に判断者が可否を決定」。会議後の書き方は議事録の取り方で扱っている。
保留は失敗とは限らない。必要なことが分からないまま決める方が困る。ただ、次回も同じ話をする予定だけ決まり、不足を調べる者が決まらない会議は、保留を育てている。
私は、全員の発言時間を同じにすればよい会議になるとも思わない。初めて資料を読んだ者の質問と、その問題を長く見てきた者の説明を、同じ二分で採点するのは平等が過ぎる。
まとめ
会議の目的と決めたいことを定め、必要な議題・資料・判断者・時間を揃える。決定と未決定を分け、未決なら次に確かめる担当と条件を残す。
伊東が覚えていたのは、黒板に投手の名が書いてあったことだけではない。勝つ試合と負けてよい試合を置き、最後の勝ち方まで示した順序である。私は、項目を全員分並べればよいという議題表を、その黒板と同じには扱わない。
会社の会議で決めることを短く示すのはよい。ただ、昔その仕事を組み立てた者の説明まで、参加者一人分の持ち時間へそろえる必要はない。担当者は今日の項目を持ち、古参はその項目を残してきた理由を持っている。
議題が終わったと司会が言っても、古参がまだ昔の判断を話しているなら、管理職だけ残ればよい。若い者の時間は返せる。部長の終了予定まで、同じ紙の上で守る必要はないのである。
短い会議を作ったという実績より、その後に残った説明を誰が聞いたかを私は採点する。黒板を消せば、その黒板を書いた者の仕事まで終わると思われては困る。











