もう着く、と連絡した後で、まだ乗り換えが二つある。相手を安心させるためだったという。待つ側の時計は安心したことになっても、その人の到着は早まらない。私は、この親切には感心しない。
遅れた事情を何行も送る前に、相手が今どう待てばよいかが知りたい。待たせたことへの礼儀と、現在の見込みを正確に伝えることは、分けて両方ある。
遅れると分かった時点で、安全に連絡する
約束の時刻に間に合わないと分かったら、安全に操作できる場所で早めに知らせる。お詫び、遅れる事実、到着の見込み、相手への相談を短くまとめる。移動中の危険な操作や、無理に急ぐことを優先しない。
架空例:「ごめんなさい。約束の時刻に間に合わず、到着は14時20分ごろの見込みです。20分ほど遅れます。先にお店へ入っていてもらえますか」。時刻や遅れは実際の状況に合わせ、確定でない時は見込みと分かる言葉を使う。
どれだけ急いだかを報告しても、待つ場所は決まらない。私は、走っている姿を反省の深さと同じにはしない。息を切らした報告より、次に何分待つかが分かる一言が要る。
徳光和夫は、生放送で長嶋茂雄へ電話を呼び掛けたときのことを語っている。長嶋はすぐ電話したが、交換台ではどこの長嶋かが分からなかった。住所を答えたため、巨人の長嶋だと確認するまで時間がかかり、本人はその間も電話をつないだまま待っていたという。
徳光が不思議に思ったのは、呼び掛けてからつながるまでの時間だった。私は、外から見えた遅さだけで相手を採点しない。しかし、その待たせた相手が長嶋であったことまで普通の取り次ぎの一件へ縮める部長には、人の見分け方から確かめたい。
到着時間が分からない時は、不明と次の連絡を示す
交通の運転再開などが未定なら、分からないことを正直に伝える。今いる状況を必要な範囲で説明し、次にいつ、何が分かったら連絡するかを合わせる。根拠のない到着時刻で相手を待たせ続けない。
架空例:「電車が止まっており、まだ到着の見込みが分かりません。待たせてしまってごめんなさい。14時に一度、状況を連絡します。先に移動するか、今日は変更するかも相談させてください」。伝える場所の詳しさは、相手と必要性に合わせる。
分からないと言うと無責任に見えるから、適当な時刻を置く。それでは、分からないという事実の上へ、相手の予定まで乗せてしまう。私は、不明を隠して立派な予定に見せる者を信用しない。
長嶋が電話口へ来たのが遅いと見えても、その間の事情は別にあった。だからこそ、待つ側へ今何が起きているかを渡す意味がある。ただ、長嶋ほどの人物を待たせた時間と、普通の折り返しを同じ一件に数える感覚にも、私は簡単にはうなずけない。
さらに遅れる時は、前の見込みを更新する
一度伝えた時刻に間に合わないと分かったら、前の見込みをそのままにせず連絡する。新しい見込み、まだ不明な点、待ち合わせを続けるかの相談を示す。相手が既に移動した場合も、新しい合流場所を確認する。
架空例:「先ほど14時20分とお伝えしましたが、乗り換えに間に合わず、14時40分ごろになります。重ねて待たせてしまい、ごめんなさい。予定の変更も含めて相談できますか」。理由は事実だけにし、交通機関のせいなどと作り替えない。
最初に連絡したから、もう知らせたことになっている。そういう説明をする者もいる。私は、一度知らせた古い時刻が、今も相手を待たせていることを忘れない。連絡は送信回数の実績ではない。
駅に着いたと言うなら、どの駅かも用件になる。昔の球場を知っている者には入口まで分かるつもりでも、相手は同じ場所を思い浮かべているとは限らない。知っている側が、その違いを埋めるのである。
待つ場所と、予定を変えるかを合わせる
遅れる時間だけでなく、相手が安全で無理のない場所へ移れるか、予約やその後の予定へ影響するかも相談する。相手に必ず待つよう求めず、先に始める・別の場所で合流する・日程を変える選択肢を合わせる。
到着後はお詫びと、変更に対応してくれたことへのお礼を伝える。繰り返す場合は出発の準備や予定の立て方も見直す。準備の段階は忘れ物を減らす記事ともつながる。
待たせた相手へ、せっかく来たのだから予定どおり全部回ろうと言うのは妙だ。減った時間は相手にも同じように減っている。私は、自分が遅れた後まで、自分の予定だけを原形で残すつもりはない。
もっとも、古参の話を聞く時間が短くなったからと、巨人のくだりから削るという判断なら、そこはもう一度相談したい。どこを省けば用件が残るかを、聞く側だけで決めないでもらいたい。
まとめ
遅れると分かった時点で安全に連絡し、到着は確定か見込みかを分ける。不明なら次の連絡を合わせ、変われば更新する。相手の待ち方や予定変更まで相談し、待つことを当然にしない。
長嶋はすぐに電話した。それでも、交換台で誰かを確かめている間、つながらなかった。徳光の回想には、遅れて見えた時間の中に、かけた本人が待っていた時間もあったのである。
会議への遅れは、参加できる見込みと必要な対応を早く伝えればよい。ただ、待った時間を全部同じ一件と数える管理職へ、私は無条件に点を付けない。誰の時間を誰が預かったかが、まだその報告にはない。
古参を待たせた事情があれば、若手の連絡とは別に、責任者が説明すればよい。予定表へ遅延と書いたから済みという話ではない。その説明のために部長の次の予定がずれるなら、そちらは部長が調整する仕事である。
会議が短くなった分、昔の巨人の話から削る必要もない。私が預けた時間をどう扱ったかまで聞いてから、次へ進めばよい。待たせた者の時計だけが予定どおりでも、それを時間厳守とは呼ばない。











