MENU

名刺の整理はどうする?紙とデジタルで相手と用件を探せる残し方

仕切り付きの名刺ボックスとカードホルダーを木の机に置いた水彩画

名刺は捨てていない。引き出しにも、鞄にも、机の上にもある。それなのに、連絡したい相手の一枚が出てこない。会社名はうろ覚えで、顔は浮かぶ。先月何の話をした人だったかを考えているうちに、別の人の名刺が十枚見つかる。

私は、何百人分持っているかという自慢を、付き合いの深さとは数えない。必要な相手へたどり着けて、何の用件だったか思い出せる。名刺の整理は、そのための仕事である。

目次

名刺の整理は、何から始めればよいか

まず名刺の置き場所をまとめ、最近会った少数から、会った日・場面・用件を短く関連づける。名前だけで探すのか、会社や案件から探すのかを決める。業務で受け取った名刺は、会社の管理ルールと保管場所を優先する。

元巨人のスコアラー、三井康浩は、入団一年目の一九七九年、多摩川の合同自主トレで長嶋茂雄に打撃を褒められたという。そのあと別の練習をしていると、誰なのかを問われた。褒めてもらった喜びと、名前を覚えてもらったかどうかは、同じ日に別々の結果になっている。

私は、顔を見たことがある、話したことがある、名前が分かる、という三つを一つにしない。名刺があるから知り合いだと言う者にも、まず何を話したかを聞く。ただ、長嶋から打撃を褒められたという一項目があれば、ほかの欄を読む前に、その話の続きは聞いておく。

紙の名刺は、どの順番で並べると探しやすいか

名前を覚えているなら五十音順、会社から探すなら会社別、会った時期を思い出しやすいなら時系列など、普段の探し方に合わせる。差し込みや入れ替えが多ければボックス、見開いて確認したければホルダーなど、量と扱い方で選ぶ。分類を細かくしすぎない。

受け取った順に詰め、満杯になったら次の冊子へ進む。それも、何月ごろ会った相手かが分かる人には使い道がある。しかし、会社名しか覚えていない人に、三冊目の途中から記憶をたどれというのは、保管した人の都合を探す人へ渡している。

三井の多摩川の話を、入団年と氏名だけにしてしまえば、きれいな名簿にはなる。だが、長嶋が打撃を見て何をしたかは残らない。巨人の選手だったという札だけで、現場を知った顔をされては困る。私は、名簿の空欄がないことより、そこに載っていない話が出てくる方を重く見る。

広告

デジタル化するときは、何を確かめるか

会社で認められた保存先やツールを使い、読み取った氏名・会社名・連絡先を原本と照合する。会った用件も検索できる形にすると探しやすい。撮影だけで整理完了にせず、共有範囲と閲覧方法を確認し、業務の名刺を無断で私物端末や外部サービスへ登録しない。

撮れば全部入るというのは結構だが、間違った名前で入っていれば、きれいな写真の横に間違った入口ができる。読めるようになったことと、正しく探せることは違う。人に会った記録を、読取枚数だけで評価する仕事には、私はあまり感心しない。

三井によると、長嶋のスタッフへの呼び方には、先生から三井君、三井、さらにあだ名へ、という変化があった。自身には数年かかって、とっちゃんぼうやという呼び名が付いたという。文字を氏名の欄へ揃えれば三井康浩一件になるが、その呼ばれ方の違いまで、同じ情報として片付けるのは粗い。

古い名刺や、同じ人の名刺はどう扱うか

同じ人の名刺が複数あるときは、現在の連絡先として使う物と、過去の接点を残す記録を区別する。異動・社名変更などを日付や確認できた情報とともに整理し、古い方が誤って使われないようにする。保存・共有・処分は会社のルールに沿って行う。

新しい肩書の一枚を残せば連絡には足りる、ということはある。それでも、昔どの仕事で会った相手かまで消えると、なぜその人を探していたのかが抜け落ちる。古い電話番号を使わないことと、古い付き合いをなかったことにするのは違う。

私は、長嶋から先生と呼ばれた時期と、三井と呼ばれた時期を、更新前と更新後の二枚で済ませたくない。新しい方が正しいから前の物は不要だ、では関係の積み重ねが見えない。今の役職を聞けば仕事が分かったと思う者は、巨人のベンチへ入る前に、まだ聞き取ることがある。

広告

まとめ

名刺は、自分が思い出せる手がかりで並べ、会った日や用件を関連づけて残す。紙でもデジタルでも、必要な相手へたどり着けるかを確かめ、現在の連絡先と過去の記録を区別する。

何百枚を一度に片付けたかより、必要な一人が見つかるかである。紙のまま役に立つなら、それでよい。検索できるようにして助かるなら、そこへ任せる仕事がある。人を知る仕事まで終わったことにしなければ、道具としては十分である。

ただし、巨人の関係者を整理した表に、長嶋から何と呼ばれたかを書く欄がないのなら、私は完成とは認めない。会社名と肩書が正しくても、とっちゃんぼうやに至るまでが入っていない。

関連記事

この記事を書いた人

何事も、まず基本から。聞かれていないことにも、答えはある。

目次