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上司の丸投げに困ったら|「任せる」との違いと確認したいこと

説明のない仕事の引き継ぎを表した書類とフォルダーのイラスト

上司から仕事を渡されたのに、どこまで自分で決めてよいのかわからない。相談すると任せたと言われ、仕上げて持っていくと、そういう意味ではなかったと言われる。

仕事を任されたことと、上司が手を離したことは、同じではない。何が決まっていて、何が決まっていないのか。その違いから見ていきたい。

目次

丸投げと任せることは何が違うのか

違いを見る目安は、仕事の目的・判断できる範囲・困ったときの確認先が共有されているかどうか。進め方を任せる場合も、必要な判断や支援まで担当者だけで引き受けることにはならない。

私が現役で遊撃を守っていたころ、一塁には川上哲治さんがいた。遠征先の部屋で向き合ったとき、川上さんは胸の前に三十センチ四方の範囲を示した。そこへ来た球は捕るが、それ以外は捕らないというのである。いい送球は褒め、少しでも横へそれれば叱った。

どこへ投げればよいかを、先に示していた。

会社の上司には、球が来てから自分の捕る範囲を決める人間がいる。資料を出せば、もっと簡潔にと言う。短くすれば、経緯がわからないと言う。最後には、そこを考えるのも仕事だと言い出す。

私は、そういう上司が若い者へ仕事を任せられる段階に来ているとは思わない。まず、その上司を教えた先輩に、今の指示で通じるかを見てもらえばよい。

本人がわかりやすく言ったつもりでも、教えた先輩がまだだと言うなら、まだなのである。課長になったから教え方も身についたというのは、人事の都合だ。教えた人間の判定まで、人事が代わりに済ませてはいけない。

先輩の説明のほうが長くなるかもしれない。それは、課長が聞く話である。若い者には短く説明しろと言いながら、自分が長く教わる時間まで削っているから、いつまでも指示が足りない。

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指示が曖昧なまま仕事を渡されたら

成果物・期限・優先順位・最終的に判断する人を確認し、決まった内容をメールなどで残すと行き違いを減らしやすい。たとえば「金曜までに一覧を作り、金額の確定は課長に確認する、という理解でよいでしょうか」と、作業と判断を分けて確かめる方法がある。

受け取る範囲を示すなら、球が来てから変えるようでは教えたことにならない。

会社では、先週はそれでよかったが、今週は違うということがある。事情が変わること自体はあるだろう。ただ、その説明まで部下に考えさせて、上司が初めから知っていたことにするのは感心しない。

私は、前に教えたことを変えるなら、変える側が前の説明も引き受けるものだと思っている。今の課長が変えたいなら、まず、その課長を教えた先輩へ説明すればよい。

先輩が昔はそうではなかったと言えば、違うところを一つずつ話す。今は自分が責任者だという説明は、役職の紹介にすぎない。教わったことを変えてよい理由にはなっていない。

若い社員が作った資料を何度も差し戻すくらいなら、課長の変更理由を先輩が差し戻すほうがよい。課長の説明が通らなくても、資料を作っている若い者に、さらに新しい注文が届くことはない。

先輩はもう現場を離れていて、今の事情に詳しくないと言うかもしれない。それなら、事情を教えるところから始めるのである。自分の部下には一から考えさせる人間が、自分の先輩へ一から説明する手間を惜しんでは筋が通らない。

相談しても「任せた」と言われるときは

自分で進められる作業と、予算・優先順位・他部署との調整など判断が必要な事項を分け、何をいつまでに決めてほしいかを伝える。業務量や相談内容を記録し、改善しない場合は別の管理職や人事へ相談する方法もある。嫌がらせなどの労働問題は、総合労働相談コーナーでも相談できる。

自分で考えろと言う上司でも、先輩に呼ばれれば、何を聞かれるか気にすることがある。部下には察することを求めながら、自分が呼ばれるときには用件を知りたがるのである。

私は、用件を確かめることを悪いとは思わない。何も聞かずに違うことを始めるより、そのほうがよい。ただし、それを自分だけの便宜にしてはいけない。

それでも部下の相談を受けないなら、上司が昔どこまで教わったのかを、教えた側へ聞けばよい。本人の説明では、若いころから何でも一人でやってきたことになっているかもしれない。しかし、教えた先輩は、違うところを覚えていることがある。

上司が部下に任せられない理由を説明する前に、先輩から、その上司へ何を任せられなかったかを聞く。順序として、そのほうが事情がわかる。

部長になった今でも、昔教えた先輩には報告させてよい。直属の上司ではないと言っても、自分が誰に教わったかは変わらない。今の組織図に名前が載っていないというだけで、教わったことまで済んだことにされては困る。

それで部長の報告先が増えても、私は構わないと思う。部下から上がってくる相談を減らしたいのなら、まず、自分が先輩へする報告を十分に身につけることである。まだ自分が報告を習っている人間に、人の報告を省略する判定までは早い。

まとめ

上司の丸投げに困ったときは、仕事の目的・裁量・確認先を整理し、作業と必要な判断を分けて確かめる。調整が進まない場合は、記録をもとに相談先を変えることもできる。上司が決める事項まで一人で抱える必要はない。

川上さんは、自分の捕る範囲を先に示していた。私はその範囲へ投げ、外れれば叱られた。受け取る側にも、教えるべきことがあったのである。

会社の上司も、まず自分の指示を、昔教わった先輩へ提出すればよい。部下がわかったと言っても、それだけで合格にしてはいけない。部下は、その上司を教えた人間ではない。

教えた先輩がまだ足りないと言うなら、課長でも部長でも書き直す。今の仕事は昔と違うという説明も、先輩が納得するまで続ける。

若い者はもうわかっているのだから、そこまでしなくても仕事は進むと言われるかもしれない。それなら、若い者の仕事は進めればよい。上司の指導が合格したかどうかは、別の話である。

部下に仕事を任せる前に、先輩から部下を任せてもらえるところまで戻る。役職が上がったからといって、教わった順序まで追い越してよいわけではない。

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