電池が切れたので引き出しを開ける。単三らしい物は何本もある。新品か、使いかけか、もう使えないのかは、入れた人の記憶の中にしかない。
私は予備を持つことに賛成だ。ただし、予備とは、必要なときに使える物である。引き出しへ転がしてある本数のことではない。
未使用・使用途中・廃棄待ちを分ける
乾電池は新旧や状態を混ぜず、種類と大きさが分かる形で保管する。
ここでは主にアルカリ・マンガンの乾電池を扱う。充電池やコイン形電池はそれぞれの案内も確認する。未使用の包装は必要な分だけ開け、使用途中の物は別の区分へ置く。新しい物と古い物、種類の違う物を一緒に使わない。使い切った物を予備へ戻さない。
戻す場所が一つだから整理できていると思う人がいる。だが、そこへ新品も使用済みも戻すのなら、整理されているのは置き場所だけである。
私は昔からの物を大切にするが、電池の新旧を曖昧にしてよいとは言わない。古い巨人の本は価値が増すこともある。使い切った電池は、年季で回復しない。
高温多湿と、金属との接触を避ける
直射日光や暑い車内、湿気を避け、鍵や硬貨などと一緒に入れない。
メーカーの保管条件に従い、乾いた安定した場所で、端子同士が触れないよう整列する。パナソニックは金属製ケースへの保管を避け、冷蔵庫も結露から錆の原因になるため勧めていない。未使用・使用途中の保管と、廃棄時の端子絶縁は別の扱いなので混同しない。
冷たい所なら長持ちすると思って、何でも冷蔵庫へ入れる発想には待ってもらいたい。食品と電池を同じ保存法で扱う理由はない。
私は、道具ごとの指定を読むことを細かすぎるとは思わない。読まずに便利な箱へまとめて、あとから原因を調べるほうが、よほど細かい仕事になる。
決まった量を持ち、使用推奨期限を見る
必要な種類と数量を決め、定期的に期限と外観を確認する。
防災用も含め、家で使う機器と電池の種類を把握する。多ければ安心という買い方をせず、使用推奨期限の早い未使用品から使いやすい位置にする。包装や本体が傷んだ物、漏液や変形のある物は使用しない。乳幼児の手が届かない場所を選ぶ。
石毛宏典は若いころ、秋の練習へ参加する代わりに、道場で合気道を習うよう私に言われたと語っている。ユニフォームとグラブではなく、道着と木刀を持って新宿へ通った。それが何年か続いたという。いつもの道具をそろえて球場へ行くことだけを、同じ準備とはしなかったのである。
私は、予備の本数をそろえた部長にも、今その場所へ何を持って行くかを聞きたい。ただ、在庫を数える表が新しくなったから、何を必要とするか教えてきた者の判断まで入れ替わる必要はない。
予備品も同じだ。何でも一通り持つより、今の機器に必要な種類を知るほうが先である。役割のない在庫へ、安心という名前をつけないことである。
使い切った電池は、自治体の案内へ分ける
廃棄待ちは使う電池から離し、端子の絶縁と地域の分別に従って出す。
電池工業会は、捨てる乾電池やリチウム一次電池の端子をテープ等で絶縁するよう案内している。種類で回収先が異なる場合があるので、充電池などを同じ袋へ混ぜない。液漏れした物に素手で触れず、メーカーや自治体へ扱いを確認する。
使えるか分からないから戻しておく。この一手間で、次に使う人にも同じ疑問を残している。後回しにした判断は、小さな電池より長く引き出しへ残る。
私は、もう役目を終えた物を終えた物として分けるのも、道具を大切にすることだと思う。全部に現役続行を命じる必要はない。
まとめ
状態別に分け、包装や整列で接触を避け、高温多湿を避けて期限を確認し、廃棄は別の手順に分ける。
石毛に道場へ行くよう伝えたとき、持つ物は普段の野球道具とは変わった。私は、いつもの一式があることを、そのまま支度ができた証拠にはしなかったのである。
電池は種類と新旧、使用済みを分け、端子や保管の条件を守ればよい。使い切った物を年季で現役へ戻す話ではない。ただ、収納を替えた管理職の判定まで新品になったと扱う必要もない。
予備が全部そろったという部長には、何のための二本かを先に聞く。答えを昔教わったのなら、教えた者へその順序も報告すればよい。引き出しを整える係が替わっても、必要な物を判断する席まで自動で空くものではない。
使える電池はすぐ取り出せればよいが、教わる側の席まで効率よく消すことはない。私は、本数を数え終えた人間へ、用具を預け終えたとはまだ数えない。











