毎日握るリモコンなのに、テレビを買い替える話ほど手入れの話は出てこない。ボタンの間にほこりが見える頃、ようやく強い洗剤で一度に片づけようとする。
私は、一回で新品に戻そうとする考え方を信用しすぎない。長く放っておいた時間まで、強く拭けば消えるものではない。
電池を外し、説明書を確かめてから始める
乾電池式のリモコンは先に電池を外し、掃除中に操作されない状態にする。充電式や電池を外せない製品は、その製品の説明書に従う。液漏れや破損があれば、通常の掃除と分けてメーカーへ相談する。
テレビだけでなく、エアコンや照明などリモコンごとに取扱いが違う。見た目が似ていても、同じ洗剤・拭き方を一律に当てはめない。
松井秀喜は、長嶋茂雄が素振りの音を聞き、調子を見ていたと語っている。よい振りには短く締まった高い音があり、よくないときには鈍く広がるような音になる。安打が出ている日も、音から自分では状態が分かるという。表の結果と、耳で確かめる結果が同じとは限らなかった。
私は、リモコンが反応するから異常なしと言う部長にも、その前から何が変わっていたかを聞きたい。ただ、その音を知ったばかりの者へ、教えてきた側と同じ判定を任せるつもりはない。鳴ったことを聞く耳と、調子を知る耳には年数がある。
画面が映るから、手元の道具は問題ないとするのは早い。使えることと、よい状態で使っていることは同じではない。もっとも、音を聞けば誰でも長嶋の指導ができるという話でもない。
表面は乾いた柔らかい布、隙間は水を入れずに
表面は乾いた柔らかい布で拭き、ボタン周りのほこりは綿棒などで無理なく取り除く。隙間へ汚れを押し込んだり、液体を直接噴霧したりしない。強くこすってボタンの文字を消さないようにする。
ソニーは掃除前の電池取り外し、綿棒などでのごみ除去、乾いた布での拭き取りを案内している。先の尖った道具を深く差し込んで内部を探る必要はない。
押せば反応するのだからよいと放置し、反応が鈍ると急に強く押す。道具の調子を見ず、指の力だけ増やしている。仕事のやり方を変えないまま、部下の返事の声だけ大きくさせる上司に似ている。
長嶋は松井の振った後の音を聞いた。私は、操作した後の結果を見ない管理職が、道具に詳しい顔をするのは認めない。設定の名前を覚えたことと、使い方を見られることは別である。
頑固な汚れも、アルコールや洗剤を一律に使わない
洗剤を使えるかは説明書で確認する。使える製品でも液体は布へ含ませて固く絞り、直接かけない。アルコール・シンナー・ベンジンなどを使えない製品があるため、消毒用品だから安全とは判断しない。
ソニーの案内例では、汚れがひどい場合に薄めた中性洗剤を固く絞った布で使い、最後に乾拭きする一方、アルコールなどは避けるとしている。機種別の指定があればそれを優先する。
強い物を使えば仕事が早いという発想は、洗剤にも指導にもある。ただし、塗装が剥がれた後に清潔になったと報告されても、私は完成とはしない。
昔の指導の厳しさを、手加減を知らないことと同じにされるのも違う。長嶋と松井の素振りには、相手の状態を聞き分ける時間があった。その時間を省いて声の大きさだけ継ぐ指導者は、何を継いだのか。
ボタンの不調は、無断の分解や丸洗いで直そうとしない
掃除しても動作が戻らない、液体をこぼした、電池端子が傷んでいる場合は、説明書の故障時案内やメーカー窓口を確認する。防水の指定がない製品を丸洗いせず、無理な分解で直そうとしない。
電池の向きや交換など通常の確認も、乾いた安全な状態で製品案内に従う。液漏れした電池を素手で触る、端子を力任せに削るといった作業は別の危険を増やす。
動かないボタンを全部外せば分かったことになる、とは限らない。元に戻せない道具を机へ並べ、構造の勉強をしたと言い直しても、テレビはつかないままである。
私は、古い物を扱う人には、外す前に戻すところまで考えてもらいたい。昔の巨人の仕組みを壊してから、新しい名前の委員会を作る。その順番を改革と呼ぶ説明は、リモコンの前でも聞きたくない。
まとめ
リモコンは説明書と電池を確認し、乾いた布とほこり取りから掃除する。液体を隙間へ入れず、洗剤やアルコールは機種ごとの可否で判断する。不調が残るなら分解でなく公式の案内へ進む。
長嶋は松井の音を聞き、松井も安打が出たという結果だけで自分の調子を決めなかった。私は、押せば動いたという一件だけで、道具も人間も全部よい状態へ数える考えを採らない。
リモコンは説明に合う手入れで使える状態へ戻せばよい。ただ、ボタンの汚れを取る係が、使う回数の少ない名前まで消してよいと考える必要はない。昔の巨人を支えた者の名は、新しい画面の使用頻度だけでは測れない。
便利になったという部長には、誰の仕事を省いたかまで見せてもらいたい。若い担当者の操作が減ったのはよいが、古参の説明を聞く場所まで消えたなら、私は設定の方を戻したい。
道具が反応しても、その部長の理解まで反応した証拠にはならない。古いボタンの一つを残したくらいで操作は壊れない。残る名前の重みを聞く時間の方は、もう少し長くてもよいのである。











