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朝礼スピーチのネタがないときは?短く話せる題材と例文

朝礼用の小さなメモカードと卓上時計、ペンを描いた水彩画

朝礼の当番になると、急に世の中へ教訓を探し始める人がいる。立派な話を一つ持ってこないと、朝から働いてはいけないのだろうか。

私は、短い話なら小さな出来事でよいと思う。遠くの偉人を借りてくる前に、昨日の職場で一つくらい見たものがあるはずだ。ただ、見たということと、語るほど見たということは違う。

目次

題材は、最近あった小さな一件から選ぶ

仕事の段取り、身近な道具、日常で気づいたことなど、自分が説明できる一件を選ぶ。未確認のニュース、他人の失敗や私生活、健康効果の断定を話の材料にしない。

  • 探していた物が、置き場所を決めたら見つかった。
  • メールを送る前に宛先を見直し、修正できた。
  • 雨の翌日に、道具を乾かす場所を考え直した。

題材の大きさで話の価値が決まるなら、毎朝世界史を扱えばよい。しかし、その日の仕事の前に必要なのは、歴史上の人物を一人増やすこととは限らない。聞き手が一つ持って戻れる話の方がよい。

長嶋茂雄は、松井秀喜の素振りを、明かりを消した部屋で聞いていた。そこへ呼ばれたのが、巨人のスコアラーだった三井康浩である。三井が語るには、最初は何度聞いても、よい振りと悪い振りの違いが分からなかったという。長嶋には違いが分かっているらしいのに、自分には同じように聞こえる。その状態から始まったのである。

三井は松井本人へ、監督の言っていることは合っているのかと確かめた。松井は、よいと言われる振りには振り抜けた感覚があると答えたという。それから三井も真剣に聞くようになり、音の高さだけでなく、音が鳴る場所にも違いがあると捉えるようになった。

私は、朝礼で先輩の話を聞く管理職にも、まずこの程度の準備はあってよいと思う。昨日も同じ話だったと決めるのが早すぎる。三井も、初めは違いを聞き分けられなかった。聞く者に分からないことを、話す者が同じことしか言っていない証拠にしてはいけない。

出来事・気づき・次の行動の順に組み立てる

最初に何があったか、次に自分が何に気づいたか、最後に何を試すかを一つずつ置く。結論をいくつも足さず、話す時間に合わなければ題材や説明を減らす。

例えば「昨日、共有資料の古い版を開きかけた」「更新日だけでは区別しにくかった」「今日は共有先の表示名も確認する」の三点なら、一つの流れになる。社内の実際のルールに反する行動を宣言する必要はない。

よい話を聞いたという感想で終えるなら、聞く側もよい話だったと返すだけになる。伝えた本人が今日何をするか、一つ見える方が、朝礼のあとが続く。

朝礼の担当者には、一つの用件を短く話せるようになってもらえばよい。ただし、昔からその仕事を見てきた先輩が補足する時間まで、同じ一分へ押し込む必要はない。若い者は今日の用件を話し、先輩は、その用件がなぜ今日まで残ったのかを話す。受け持っている年数が違うのである。

その違いが分からない部長には、先輩の話をもう一度聞いてもらいたい。部下の朝礼が終わった後で、管理職だけ残ればよい。聞き手の教育まで、朝礼の時間内に済ませようとするから無理が出る。

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短い朝礼スピーチの例文三本

以下は編集側で作った架空の例文で、実在人物の発言ではない。話す速さや間で所要時間は変わるため、「必ず一分」とは扱わず、自分で読み上げて長さを合わせる。

置き場所を決めた話

昨日、外出前に鍵を探して少し慌てました。帰宅してから、鍵を置く場所が毎回違っていたことに気づきました。物を減らす前に、戻す場所を一つ決める方が今の自分には必要そうです。今日から玄関の決めた場所へ戻してみます。

確認を一つ増やした話

先日、メールを送る直前に宛先を見直し、似た名前の方を選んでいたことに気づきました。文章の確認だけでは、送る相手の間違いは見つからないと感じました。送信前は、本文とは別に宛先を見る時間を取ろうと思います。

道具を使った後の話

雨の後の傘を、濡れたまま畳んで置いていました。次に使うときに困らないためには、買うときの比較だけでなく、使った後の手入れも必要だと感じます。まず家で乾かせる場所を確かめようと思います。

立派な成果がなくても、何を見て何を変えるかは話せる。これを必ず会社の大きな目標につなげようとすると、鍵の置き場所から経営理念まで持ち上げることになる。朝から鍵の負担が大きい。

時間を超えるときは、説明する出来事を一つにする

制限時間がある場合は声に出して確認し、背景、登場人物、結論の数を減らす。早口で全て詰め込むより、一つの話を残す。話すこと自体への緊張は、題材探しとは別に準備できる。

本番で言葉が止まる場合の準備は、プレゼンで緊張するときの対処で扱っている。丸暗記にこだわらず、職場で認められるなら三点だけのメモを使う方法もある。

私は、仕事の経緯も知らない部長が、毎朝自分の感想を十個足すことには賛成しない。先輩の話なら何でも長くてよいということではない。誰に何を教わり、その仕事をどこまで知っているかを先に確かめる。役職が上がっただけで、長く話す資格まで増えたと思われては困る。

長嶋と松井の素振りを、単に練習熱心だったという一行へ縮めれば、聞き方が変わっていった三井の仕事が消える。私は、そういう省き方をする管理職の説明は短くしてよいと思う。省かれた経緯を知っている先輩の説明には、その分の時間を戻すのである。

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まとめ

身近な一件を選び、出来事・気づき・次の行動の三点で話す。例文は自分の事実に置き換え、制限時間は実際に声に出して調整する。

長嶋が松井の振る音を聞き、三井は初め、その違いが分からなかった。松井に確かめ、それから聞き方が変わり、少しずつ分かるようになった。耳の前を音が通ったことと、その音を聞いたことは、同じではなかったのである。

朝礼も、話した者の時間だけを計れば済むものではない。先輩の説明を昨日も聞いたという部長には、昨日と今日でどこを聞き分けたのか、先に説明してもらいたい。違いが分からないなら、もう一度聞く。

若い者が毎日違う題材を探し、その部長が毎日同じようにうなずく。私は、題材を探す側だけを働かせる気にはなれない。同じ話から違うことを聞き取れるようになるまで、部長の勉強を続ければよい。

部下の朝礼は短く終え、その後に管理職だけ残る。先輩がまだ伝えることがあると言うなら、そちらの時計は急がなくてよい。短くすべきなのは、まだ仕事を始めていない若い者の待ち時間である。

それで部長が毎朝同じ昔話を聞くことになっても、三井の最初の耳と、その後の耳が同じだったかを考えればよい。話を変えてもらう前に、聞く人間の方が変わる余地は残っているのである。

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この記事を書いた人

何事も、まず基本から。聞かれていないことにも、答えはある。

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