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スーツのブラシのかけ方|着た日のほこりを落とす手入れ

ハンガーに掛けたスーツと洋服ブラシの水彩イラスト

スーツを脱ぎ、椅子へ掛け、翌朝また着る。昨日と同じ形で残っているのは、忙しさの証拠というより、昨日のままというだけではないか。

私は高い服を買えば身だしなみが済むとは思わない。買った日より、着た日の終わりにどう扱うか。そこに持ち主が出る。

目次

ブラシをかける前に、生地と汚れを確認する

服の取扱い表示や販売元の案内を確認し、洋服用のブラシで軽く払えるほこりと、シミを分ける。

濡れた服や、繊細な装飾・毛足の長い生地などへ一律にかけない。目立たない所で軽く試し、引っ掛かりや傷みが出るなら止める。液体のシミを乾いたブラシで強く擦り広げず、販売店やクリーニング店へ相談する。

私は手入れの道具を揃える人を嫌いではない。だが、ブラシを買った途端に、全部の生地を同じ強さで払うのは感心しない。服より道具の都合が先に立っている。

古い服を大事にするのと、傷んでも同じ方法を続けるのは違う。昔を大切にする私でも、そのくらいは分けたい。

ポケットを空にして、形を支えて軽く払う

ハンガーなどで形を保ち、生地を強く擦らず、ほこりを払うようにブラシを動かす。

青山の案内では、全体のほこりを軽く浮かせ、上から下へ大きく払う動きが示されている。服の生地目やブラシの説明に合わせ、細かく往復して擦り続けない。ポケットの中身を出し、重い物で型が崩れたまま手入れしない。

川上哲治は調子が悪いと、二軍の投手を連れて多摩川で打ち込んでいた。私に、来た球を打てばよいと話したこともある。打ち方を飾る余裕がなくなるほど続け、最後は球を打つところへ戻ったというのが、私の見ていた川上の打撃だった。

私は、手入れの流行語だけ増やす部長にも、何を落として何を残すかを聞きたい。昔の一着が使う回数を減らしていても、同じ出勤回数の服へ換算して処分を決める必要はない。何の席へ着るかは、まだ持ち主が覚えている。

ブラシを動かす前に、何を落とすための作業かを部長へ聞く。力を加えた時間を、そのまま丁寧さに換えることはない。川上の打ち込みも、汗の量だけ数えて教えたつもりになる話ではなかった。

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肩・襟・袖・裾など、たまりやすい場所を見る

全体だけで終わらず、縫い目やポケット、裾などを生地を傷めない範囲で確かめる。

襟や肩の縫い目はほこりが残りやすい。ポケットも無理のない範囲で中の糸くずを確認する。スラックスはベルトを外し、裾の折り返しなどを丁寧に見る。ほつれや穴が見つかったら、ブラシで押し込まず補修の相談へ分ける。

正面から鏡に映る所だけ整えると、肩や裏側はいつまでも留守になる。自分が見やすい所と、人から見られる所は同じではない。

鏡の前へ立つ部長には、前の席からは見えない背中まで確かめてもらいたい。ただ、見える場所を一つ増やしたから、先輩の仕事を見る目まで育ったとは数えない。点検する場所と、点を付ける資格は別である。

落ちない汚れは、擦る量で解決しない

ブラッシングで取るほこりと、洗浄や補修が必要な汚れを分け、手入れ後は適切に保管する。

においやシミ、変形までブラシだけで直るわけではない。服に合うハンガーで休ませ、湿気をためない場所で保管する。アイロンやスチームを使う場合は別途表示を確認する。毎回強く擦って「やった感」を増やす必要はない。

手入れの成果を力の量で数える人には、少し休んでもらいたい。ほこりと一緒に生地まで減らしたら、仕事の範囲を超えている。

私は昔の巨人のユニフォームを見ると姿勢を正したくなる。だが、普段のスーツに求めるのは威圧感ではない。翌日も普通に着られる、それで十分に立派だ。

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まとめ

生地と汚れを確認し、ポケットを空にし、洋服ブラシで軽く払い、落ちない汚れは専門の手入れへ分ける。

川上は不調のとき、打ち込んだ先で来た球を打つというところへ戻った。私は、その経過を省いて、簡単な言葉にすれば全部同じ教育だという部長の説明を採らない。

スーツは生地と表示に合う手入れで、次も着られる状態へ戻せばよい。ただ、今着る回数が少ないという理由だけで、昔からの一着の席まで空ける必要はない。日常の出番と、そこへ着ていく格は別である。

新しい服を揃えた管理職には、先輩の一着が残る理由を先に聞いてもらいたい。説明が長くなるなら、服を戻す棚より、部長の予定の方を少し空ければよい。仕舞った写真を先に撮る必要はないのである。

私は、新品を着た者へ、昔の用具を測る物差しまで一緒に渡さない。ブラシが新しくなっても、誰の一着を預かったかを知る者の席は残る。

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世の中には、まだ教えることがある。話は変わるが、基本は同じだ。

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